研究課題/領域番号 |
22530041
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
多田 一路 立命館大学, 法学部, 教授 (00313453)
|
キーワード | フランス公法 / 社会的民主主義 / paritarisme / 社会保障 / 労使関係 / 予算 |
研究概要 |
本研究は、民主主義のあり方として、日本において通常観念されている政治的な場面におけるそれとは異なる場面における、民主主義的制度として、社会的民主主義の検討を行うものである。本年度は、フランスにおける社会的民主主義(democratie sociale)なる概念が、そもそもどのように観念され、そしてそれがどのような制度として存在し、どのように評価を受けているのかについて、研究をおこなった。本年度は、三年計画の第二年度に当たる。 フランスの社会的民主主義の基本的な考え方およびその原像に関する文献を渉猟し、分析を行うに加え、予算との関係について、検討を行った。フランスでは、社会保障分野についての予算制度の改革が、1997年度より実行に移され、社会保障財政について、議会のチェックが入ることになった。これは、社会保障分野について政治的な民主主義によるコントロールを導入することであるが、それにもかかわらず、社会保障関係各機関の、労使代表による自律性は基本的に保たれている。これは、フランスにおいてなお社会的民主主義の観念が、政治的民主主義と並び立って存在していることを示すものである。議会におけるコントロールを受けつつも、単純な政治的判断のみを優先させないことは、日本においても教訓化できる。この点について、論文としてまとめることができた。 また、民主主義の担い手の在り方として、NP0の可能性について検討した。しかし、NPOの場合は、その団体の強い任意性のために、その公共的役割の担い手としてふさわしいと必ずしも得ず、なお、この点について引き続き検討が必要である。この点について、学会報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属学部において副学部長となったため、本研究に予定していたエフォートが著しく下がった。同様の理由により、外国出張ができていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、秋より外国留学となり、本研究の研究対象国であるフランスに滞在して研究を続ける。したがって、研究計画の変更(今年度後半における研究拠点の変更)が発生するが、この事情は、本研究にとってはむしろ高条件であり、同時に、昨年度に研究の進展の遅れが発生しているが、それを回復する条件にもなっているため、問題は発生しない。
|