米国は「対テロ戦争」においてテロ行為の容疑者の審理・処罰のために軍事審問委員会(military commission)を創設した。この特別な管轄権の制度は2度の根拠法の改正や裁判所による審査を経て、次第に容疑者の人権により配慮する制度として整備されているが、その事項的管轄権の範囲に深刻な問題を残している。こうした特設の管轄権の制度に対して他国の協力が必要な場合、相互主義を基盤とする既存の国際法の制度(国際刑事共助)をそのまま利用することは法的には困難であり、軍事審問委員会の特徴に適合した新しい法的枠組みが必要と思われる。
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