国際専属管轄は、国家対国家の関係において他国の権力の介入を拒否するか否かが基準であり、他方、仲裁付託適格性は、国家対私人の関係において私人による自由な処分を認めることができるか否かが基準である。その違いから、前者の事項は主権国家としての尊厳(これを失うと国家の存立自体が損なわれる)に深く関わる事項とされるべきであるに対して、後者の事項は私人が和解により処分することが認められていない事項が設定されるべきである。 この観点からは、日本所在の不動産の物権を目的とする訴訟を専属管轄としていない民事訴訟法3条の5は問題であり、専属管轄とすべきである。
|