研究課題/領域番号 |
22530052
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
徳川 信治 立命館大学, 法学部, 教授 (60280682)
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キーワード | 国際法学 / 欧州人権条約 / 欧州人権裁判所 / 国際人権法学 / 欧州評議会 |
研究概要 |
本研究は、国際裁判、とりわけ変革が著しい欧州人権条約システムにおいて、その司法機関たる欧州人権裁判所の判決の執行がいかなる形で実効性を確保しようとするかを明らかにすることにある。それは、欧州人権裁判所、欧州評議会諸機関(閣僚委員会及び議員総会)、さらには締約国の判決執行にかかわる重層的取り組みと、その法的基盤を明らかにする研究である。これは、欧州人権条約の実体条文の実証的研究ではなく、欧州人権条約に対して発展的解釈を行い、国際人権法をリードしてきた欧州人権裁判所の実効性・正統性を確保するための基盤を明らかにする点で特色がある。 閣僚委員会及び議員総会の判決執行にかかる役割を整理するため、その決議及び決定・報告書を丹念に読み、また現地での聞き取りを行うことによって最新の情報収集につとめつつ、判決執行のシステムの全体像を把握することであった。 本年度においては、閣僚委員会における判決執行監視について、検討を重ねた。2009年における執行監視手続きの整理から、インターラーケン宣言などを経て、11年度には、執行監視対象となる判決が増加しつつある現状に対応して、監視手続きの簡素化及び重点化が行われつつあることを明らかとした。 かかる手続きの精緻化が、他方で条約基礎をおかない、判決執行に関わる手段の義務の精緻化を行うものであること、さらに実効性を高めるために透明性の確保による欧州の市民社会による監視体制の構築をするものであること、という事実上の制度化と実効性の確保の実態をあきらかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎年のように修正が加えられつつある執行監視手続きを追うことに困難はあったが、閣僚委員会による執行監視手続きについて一定の整理ができたものといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を基礎として、議員総会における議論状況について、現状の整理と判決執行監視に対する役割について明らかにすることを予定している。
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