研究課題/領域番号 |
22530055
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
沢田 克己 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40187290)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 排出量取引 / 温室効果ガス / UK ETS / 競争制限 / 競争法 |
研究概要 |
平成24年度においては、排出量取引指令に従って連合王国において開設、運営されているETS及び連合王国が独自に創設したUK ETS と競争の関係を研究した。排出量取引指令を国内法化した連合王国法の構成、プールの形成の有無とその実態、排出量取引の実施における事業者団体の関与と英国競争法との関係を解明した。 すなわち、イギリスの排出量取引指令の国内法化における監督官庁、「許可証」の発行、その譲渡の構成、排出枠の割当、発行および引渡、第1フェーズ国内割当計画の実施のあり方、第2フェーズ国内割当計画の実施のあり方、さらに、イギリス独自のETSであり、基本的にベースライン・アンド・クレジット方式を採用するUK ETSの構成を明らかにした。これらに加え、イギリスが室効果ガスの抑制のために採用している気候変動税と気候変動協定を分析し、とくに後者においては事業者団体と政府の関わりが深いことを解明とした。すなわち、セクター目標設定(統括協定)基準年(base year)に比してコスト効率的に何パーセントの改善が可能であるかを交渉することにより、セクター別に設定された。準セクター目標設定(準統括協定)は、例えばアルミニウム分野はアルミニウム精錬分野、アルミニウム圧延分野などの多数の分野に分けられた。設備別目標(個別協定)は、セクター団体は、セクター目標の交渉において「ボトム・アップ」方式を用いたか「トップ・ダウン」方式を用いたかにより、参加設備ごとに個別目標を割り当てる。ここで競争制限があり得る。各操業者は、全てまたは数カ所の施設に適用される複合目標(composite target)を選択することも、個別の施設に適用される分離目標(separate target)を選択することもできるが、いずれにしても、個別目標の個別施設への割当量により、事業活動が制約される可能性があるからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欧州連合の排出量取引指令に従いイギリスにおいて国内法化された排出量取引制度およびイギリス独自の排出量取引制度の全般について、その制度的枠組みと内容を明らかにすること、および、それにより発生し得る競争制限の可能性を明らかにすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度においては、欧州連合の排出量取引指令に従って整備された欧州連合加盟国の国内法の研究を継続し、ドイツ連邦共和国の国内法を対象に研究を行う。平成26年度には、排出量の自由な国際取引に対してWTO加盟国政府が何らかの制約を課す場合のWTO諸協定の適用のあり方について研究を行う。
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