出向元・出向先・出向元に籍を置いて出向先で働く労働者、以上 3者による在籍出向関係は、大まかに(1)労働契約(法)上、(2)労基法をはじめとする最低労働基準を設定した法令上、(3)憲法・労働組合法等の労使関係法上、解明すべき課題を多数抱える。ドイツ労働法との比較という視点も加味する本研究によって少なくとも、(1)では、従来さほど顧みられなかった出向労働者個人の利害 ・ 意思表示をより積極的に評価すべき可能性が拓かれ、(2)では、出向労働者にとって出向元・出向先いずれもが当該法令上の「使用者」たりうると看取できる。他方、(3)の解明は、本研究では果たせず今後の課題である。
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