研究課題/領域番号 |
22530059
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
森 克己 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 准教授 (60343373)
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キーワード | 子ども / スポーツ / 教育 / チャイルド・プロテクション / イギリス / CPSU / UKCC / スポーツ団体 |
研究概要 |
イギリスでは、2001年にスポーツ分野のchild protection(以下CPと略)の中核機関としてChild Protection in Sport Unit (CPSU)が設立されて以来、スポーツ団体がCPのガイドラインを策定するなど、スポーツ分野でも虐待などから子どもを保護する社会的仕組みが整備・充実されている。本研究は、イギリスでの現地調査等により、イギリスの教育・スポーツ分野におけるCPの法制度の現状や政府・スポーツ団体によるガイドラインの内容等を考察し、わが国における制度構築の示唆を得ることを企図する。イギリスのCP制度については英語・邦語文献ともに数多くの文献が出されている。しかしながら、教育・スポーツ分野に焦点を当て、かつイギリスのコーチング資格認証制度であるUKCCとCP制度との関連研究や教育分野での法学的観点からの研究業績は未見である。また、本研究においてイギリスの教育・スポーツ分野におけるCPについて研究することは、わが国における子ども虐待防止法制度全体のあり方、スポーツ指導者の資格制度のあり方、学校での児童・生徒の性犯罪者等からの安全確保等について再考する契機となりうる意義を有する。 以上の前提に基づき、本年度はイギリスでの学術調査を実施し、平成23年8月に英国教育省・子ども保護部局のマーカス・スターリング氏及び、アングリア・ラスキン大学のダレン・シャープ講師、コンパートン・ヴィレッジカレッジ校長のステファン・マンディ氏等と面会し話を伺った。その結果現在イギリスにおいては、Munro Reviewに基づき、CP制度全般の見直しがなされていることやコンパートン・ヴィレッジカレッジにおいては、教員に対するCPの研修がなされていること等が判明した。また、ロンドン地区の地方子ども保護評議会(Local Safeguarding Children Board、LSCB)が策定しているCPのガイドラインは、900ページもの膨大な量のものであることが分かった。さらに、平成24年3月にもイギリスでの学術調査を実施し、イギリススポーツ団体のCP制度創設において中心的な役割を担ったアマチュア・水泳連盟を訪問し、担当者から話を伺うとともに、資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調であるが、イギリスのチャイルド・プロテクション(以下CPと略)制度は、現在政府によって制度の見直しが行われており、現行制度と政府による改革の内容の両方を調査する必要が生じている。また、英国教育省の担当者から紹介いただいた、ロンドン地区のLSCBのCPガイドラインが900ページもの大部であるなど、現地調査によって、日本では得られない膨大な資料が存在することが判明し、その分析に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は研究の最終年度であるため、これまでの研究で収集した資料等の分析を進めると同時に、イギリス攻府により現在進められているチャイルド・プロテクション制度改革の動向を把握しつつ、現行制度の研究を進め、齢要に応じて、イギリスでの学術調査を追加して実施する予定である。
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