研究課題/領域番号 |
22530064
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
城下 裕二 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90226332)
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研究分担者 |
山本 輝之 成城大学, 法学部, 教授 (00182634)
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キーワード | 生体移植 / 臓器移植 / 移植医療 / 病腎移植 / 臓器売買 / 正当業務行為 / 被害者の承諾(同意) / 親等制限 |
研究概要 |
平成23年度は、前年度に抽出された生体移植をめぐる法的論点についての検討を行うとともに、引き続き研究代表者および分担者の各所属大学における報告、意見交換を実施してきた。特に、わが国および海外における生体移植の沿革、医学的・社会的状況を明らかにしつつ、摘出と移植のための許容条件、医療関係者の法的義務、臓器売買罪の保護法益、いわゆる病腎移植の許容性、規制方法としての法律およびガイドラインのあり方などについて考察を行った。これによって、従来、死体(脳死体を含む)からの移植問題に議論が集中してきたなかで、生体移植独自の法的争点が存在し、実際の移植医療では死体移植に比して生体移植が件数としてははるかに多いという現状のなかで、それらの争点を解決すべき必要性が極めて高いことが明らかにされた。その一応の成果として、研究代表者の城下による分担執筆「生体移植」(倉持武=丸山英二〔責任編集〕『脳死・移植医療(シリーズ生命倫理学・第3巻)』(丸善出版)所収)があり、そこでは、生体移植に関わる法的問題点を概観すると同時に、生命倫理との関連性を考慮しながら今後のあるべき方向性について現段階での私見を展開した。また、研究分担者の山本は、町野朔=山本輝之=辰井聡子(編)『移植医療のこれから』の編集ならびに出版作業を行い、同時に、同書第2部のIを「生体臓器移植と死体臓器移植」とすることにより、これまでの類書では見られなかった、それぞれの移植における問題性を意識した構成となるよう試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、当初「研究実施計画」で示した内容はほぼ実施することができたが、国外での調査については、研究分担者のやむを得ない事情(親族の緊急入院)により、延期せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、これまでの検討を踏まえて、学会におけるワークショップ、ならびに各研究会での報告により、生体移植に関する法的規制のあり方をモデル案の形で提示し、意見交換を行う。前年度に実施できなかった国外調査については、予め研究計画に記載していた対処方法の通り、平成24年度の前半を活用して行い、早急にその成果をまとめることとする。
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