特に児童虐待事件に注目し、裁判員裁判の対象となる傷害致死、逮捕監禁致死、保護責任者遺棄事件につき、それぞれ裁判傍聴、刑事確定訴訟記録の閲覧、事件関係者(医師や弁護士)などを通じて調査した。結果として、裁判員裁判を意識した証拠収集が行われており、目撃者のいない児童虐待の事実を立証するために、積極的かつ包括的に医学専門家の意見を聴取することで、裁判員の心証を勝ち取っている実態が示唆された。そして、被告人の犯行の悪質さを示す医学的証拠が、裁判員の事実認定および量刑評価の双方に大きな影響を与えていることが明らかとなった。
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