研究課題/領域番号 |
22530070
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
只木 誠 中央大学, 法学部, 教授 (90222108)
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キーワード | 承諾 / 承諾と承諾能力 / 説明と承諾 / 承諾能力者 / 承諾無能力者 / 限定的承諾能力者 / 医療行為と承諾 / 未成年者の治療 |
研究概要 |
今年度は、研究課題である「未成年者の精神疾患治療における、患者への情報の開示および説明と患者の承諾」の問題に関して、特にドイツとの比較においてこれを考察し今後わが国において検討されるべき課題を抽出していくため、昨年来収集してきた基本的な文献を分類し整理するという基礎的な作業を継続しておこなった。また、これと並行して、ドイツの研究者への研究協力を依頼し、各種調査活動を行った。 具体的な経過としては、まず、昨年6月には、ライプチッヒで開催されたドイツ刑法学会に出席し、その際現地の研究者との意見交換を通して当該研究テーマに付随する有意義な示唆を得ることができた。夏には、昨年に続いてドゥットゥゲ教授をゲッティンゲン大学にたずね、同教授より当該問題についての意見を聞き、加えて、文献検索等でも力を借りた。同教授は、現地でアルツハイマー患者や承諾能力のない子どもへの医的侵襲の問題に関する委員会のメンバーを務めており、その見解は日本での議論にも大変参考となるものと思われるところである。また、同じく、アウグスブルク大学のロゼナウ教授、元ギーセン大学教授のヴォルフスラスト博士にも連絡のうえ意見を求めた。両教授ともに、ドゥットゥゲ教授同様、ドイツにおける生命倫理と法をめぐる問題に詳しく、議論をリードする立場にある研究者である。9月には、スイス・チューリヒ大学のターク教授の招きを得て同大学で開催されたシンポジウムに出席し、講演を行った。なお、昨年4月に開催の予定であったところ、3月に起きた東日本大震災の影響のため延期となっていた生命倫理と法に関するシンポジウムについては、ターク教授、ドゥットゥゲ教授をあらためて日本に迎え、日本側の生命倫理の研究者を加えて、平成24年4月に開催の運びとなっており、現在、その準備が進行中である。文献としては、平成22年4月にギーセン大学のグロップ教授、ロゼナウ教授を迎えて中央大学にて開催されたシンポジウムの報告のまとめが比較法雑誌に掲載の予定である。 これらのことをふまえて、来年度は資料の精査・検討作業に入り、そのうえで、研究における一定の方向付けを提示できたらと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ドイツと日本における当該問題について、両国の法制度や議論の状況を比較法的なアプローチにおいて検討・考察することによって明らかにしようとするものであり、資料の収集・調査、またその整理などの基礎作業には十分な時間が必要であるところ、この点での進捗状況はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
来年は、本研究の最終年度にあたるため、これまでの作業をもとに研究の総仕上げを行い、当該問題についての一定の方向性を導き出したいと考えている。
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