研究概要 |
今年度は、研究課題「未成年者の精神疾患治療における、患者への情報の開示および説明と患者の承諾」に関して、各文献を整理し、特にドイツとの比較において今後わが国において検討されるべき課題を抽出する作業を行った。また、並行して、ドイツの研究者の研究協力のもと各種調査活動を行った。 具体的には、4月、スイス・チューリヒ大学のターク教授、ドゥットゥゲ教授を日本に迎えて生命倫理と法に関するシンポジウムを開催し、7月には、トルコのイスタンブールで開催されたInternational Academy of Legal Medicine (IALM:国際法医学学会)に出席してわが国における医療過誤の問題について刑法実務の見地から報告を行った。9月には、ドイツ法学者大会ミュンヘン大会に出席し、その後、ゲッティンゲン大学においてドゥットゥゲ教授より研究課題に関しての意見交換を行った。平成25年3月、ギーセン大学のグロップ教授のもと開催された日・独・トルコ刑法討論セミナーにおいて承諾能力を取り上げた報告を行った。発表業績としては、ドゥットゥゲ教授の論文「医事法における年齢区分の機能」の翻訳稿が比較法雑誌46巻1号に、また、“Penal Law Dimensions of Medical Malpractice in Japan”が同誌46巻3号に掲載された。なお、ロートアルメル博士の論文“Patientenaufklrung, Informationsbedrfnis und Informationspraxis in der Kinder- und Jugendpsychiatrie und Psychotherapie”の共同翻訳書については近々、また、ギーセン大セミナーでの報告も遠からず刊行される予定である。 以上、最終年度において、本研究は一定の成果を得ることが出来たと考える。
|