研究課題/領域番号 |
22530072
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
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キーワード | 高齢社会 / 遺留分 / 親族連帯 / 予防法学 / 相続法改正 / 寄与分 / 遺留分の生前放棄 / 特別受益 |
研究概要 |
本研究は、高齢社会の下での遺産承継のあり方を、主に最近のドイツでの相続法改正、予防法学との比較を通じて、わが国での問題の解決を探ることを目的としている。今年度は、主にドイツの2009年の相続法改正の立法過程の議論と問題点を整理した。具体的には、(1)遺留分の剥奪事由の現代化、(2)介護給付を寄与分として承認する要件の緩和、特に、介護保険法による現金給付の承認の影響、(3)遺留分補充請求権の猶予の拡大、(4)遺留分補充請求権の消滅時効期間を10年から1年ごとに10%漸減させるという法改正と予防法学の変化に重点を置いた。このような法改正の法制活の現実への影響は未だ明確に結論の出ている段階ではないが、可能なら2012年度にドイツでの聞き取り調査を行う予定である。さらに、ドイツではないが、アジア地域の同様の問題点に関して、2011年9月に台北で行われた家族法のシンポジウムに参加して、事情を調査した。今ひとつ、先取りした相続に関する問題点を特に法技術的な特徴に焦点を当てて検討した。今ひとつ、わが国の遺留分減殺請求権のあり方に関して、特に取引の安全との関係で検討の準備を行っている。以上の研究の中で、2009年のドイツ相続法の改正に関しては、現在論文の執筆作業を進めている(藤原正則「2009年のドイツ相続法の改正-特に、遺言自由と親族連帯との関係で-」、北大法学論集に発表予定〉。さらに、わが国の遺留分の問題点に関しては、椿寿夫主催の「相続と財産法理論」研究会で報告し、単行本『相続と財産法理論』(仮題)の中に論文として掲載する予定で準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であるドイツの相続法改正の検討、予防法学に関する法技術的な整理に関しては、一定以上の成果を上げていると考える。したがって、申請時の研究計画に関しては、ほぼ達成可能な見通しが出てきたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり当初の研究計画は概ね達成可能な見通しが出てきたと考えている。そこで、今後は特に、ドイツとわが国の問題との対比に力点を置いて研究を進めたい。さらに、可能ならドイツでの税制度の改正と相続法の改正の関係も視野にいれた検討を行いたい。
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