本研究は、法的再建手続の開始した企業の再建のプロセスにおいて、適正かつ公平な事件管理にあたる裁判所の裁量権の根拠・範囲を一般的に明らかにするとともに、いくつかの具体的局面に焦点をあてて、その発現の態様を考察することを目的とした基礎研究である。ここで用いた再建事件のガバナンスという分析視角は、特に民事再生法上のDIP制度を分析する上で重要な意味をもつ。その研究成果は複数の論文等の形で随時公表したが、なかでも「倒産手続における裁判所の役割についての序論的考察」は、倒産裁判所の裁量権について歴史的かつ比較法的手法を用いて総論的に考察したものであり、この分野での日本で初めての包括的な理論研究といえる。
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