研究課題/領域番号 |
22530080
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上田 純子 九州大学, 法学研究院, 教授 (40267894)
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研究分担者 |
山本 雅昭 静岡大学, 人文学部, 教授 (30380124)
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キーワード | 企業統治 / 経営責任(民事・刑事) / ドイツ株式法 / 英国会社法 / 比較法 / 責任成否の限界 |
研究概要 |
平成23年度は、平成22年度に内外において収集した文献に基づく研究成果をさらに発展させるとともに、引き続き精力的に文献収集と分析に当たりつつ、共同研究者間の出自の相違を超えた相互の研究成果の有機的連携と可視化に意を注いだ。 上田は、本研究課題の理論的礎石とすべく、平成23年4月に九州大学産業法研究会において経営責任の成否の限界事例に関する研究報告を行うとともに、平成24年3月に英国を中心にヨーロッパ諸国を歴訪し、ノルウェー国オスロ市のオスロ大学において経営責任と関連づけつつ株主の監督是正権に関する比較法のスタッフセミナーと同内容を学生向けにアレンジした講義とを行った。当該在外研究は2週間程度であったが、英国およびドイツに関する文献収集のみならず、現地研究者との交流の機会にも恵まれ、外国法固有の概念等について非常に有益な教示を得ることができた。また、本研究課題に関する成果として、共同研究者山本との共著論文「経営判断と規範-学際的・比較法的アプローチからの責任法理構築への覚書-」を法政研究第78巻第3号に投稿した(平成23年12月刊行)。 山本は、平成22年度および23年度の研究成果の一部を上記共著論文として公表したほか、これに関連して、とくにドイツおよびわが国の背任罪における任務違背の成否と経営判断の原則と関係についてまとめた「企業経営と背任罪の成否」を法学第75巻第6号において発表した(平成24年3月刊行)。また、ヨーロッパ連合域内における刑事法統合の動きが加速化するなか、ドイツと著しく異なる法体系をとる英国において背任事象をめぐる刑法規範のあり方および擬律如何に対する関心から、ドイツおよび英国に赴き関係する文献の収集に努めたが、これをもって、上記共著論文から明らかになった英国における背任事象に対する刑事規制如何という課題に取り組むための足がかりを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度中に共同研究の成果の一部を公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は本研究課題の最終年度となるため、本研究の一層の進展を図ると同時に一応のまとめをも行いたい。引き続き短期間の在外研究を実施して現地の貴重資料や情報の収集にあたるほか、研究成果の公表に向けて研究内容のなお一層のブラッシュアップを図る。
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