民法570条の瑕疵担保責任規定を巡る従来の法定責任説・契約責任説の根幹を洗い直し、瑕疵担保責任の経済的機能に焦点を置いた新たな理論枠組みを呈示した。特に、(1)瑕疵担保責任のリスク・シェアリング機能、(2)シグナリング機能、(3)ダブルモラルハザード状況におけるインセンティブ機能を明らかにした。本研究により、「各種厚生阻害要因への制度的対応として設計されたものが契約法である」との新しい見解が提示された。また、経験財における非対称情報という日常取引において広範に存在する厚生阻害要因への制度的対応として設計されたものが570条であるとの新たな見解が明らかにされた。
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