研究課題/領域番号 |
22530086
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
草野 芳郎 学習院大学, 法学部, 教授 (70433711)
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キーワード | ADR / インドネシア / 和解 / 調停 / 法整備支援 |
研究概要 |
平成23年8月8日~16日にインドネシア共和国ジャカルタとデンパサールで調査、見学、意見交換等を行った。訪問先は、ジャカルタでは、最高裁判所、南ジャカルタ地裁、司法研修所、ボロブドール大学、ジャカルタ日本大使館、デンパサールでは、デンパサール地裁、ワルマディア大学、等であった。 平成23年日本学術振興会若手研究者招聘事業「日本のADR(和解)のアジアへの発信」が採択されたので、10月に、インドネシアから20人、インド、オーストラリアから各1人(合計22人)の若手研究者を学習院大学へ15日~30日間招聘し、国際セミナーや国際シンポを実施した。また、12月24日~30日にインドネシアのジャカルタ、ジョグジャカルタを訪問し、10月に招聘した研究者と再会して意見交換し、ガジャマダ大学、ソロ大学、ムハマディア大学を訪問した。 日本政府が協力して平成20年に制定したメディエーションについての最高裁規則の運用状況、インドネシアのADR事情、インドネシア最高裁判所が日本の司法から何を取り入れたいと考えているか、インドネシアと日本の法律家の交流と相互発展はどうあるべきかを調査ないし意見交換でき、大変有益だった。インドネシアの経済成長は著しく、日本経済の閉塞状況ともあいまって、日本企業のインドネシアへの進出が加速している。そのために、現在、当職の知る限りで、日本の弁護士事務所がインドネシアに弁護士を5人派遣している。これからいろいろな紛争が発生すると思われるが、そのためにもインドネシアの司法改革と日本、インドネシアの法律家の相互理解が不可欠の状況となっている、私は、日本とインドネシアの法律家の友好のための協会を結成したいと考え、8月12日に、志を同じくする人たちと日本大使館で準備会を開いて、平成24年8月に訪問したときに結成することを確認した。 10月実施した若手研究者招聘の結果、日本のADRについての認知度がインドネシアの大学で急速に拡がったことは、大変喜ばしい。ただ、若手研究者招聘事業は平成23年度限りのものであったため、来年度は招聘する予算がないのが残念である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当職のインドネシア訪問も累計で7回に達しており、カウンターパートのインドネシア最高裁、協力者の日本法務省法務総合研究所国際協力部、支援者の学習院大学の好意ある対応もあって、順調に進んでいる。ただ、法の移植、発展を見届けるには最低10年の観察が必要と思われ、短期に目標達成できないものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに的確な研究をするためには、毎年1回の短期訪問では表面的な観察に終わらざるをえない。 インドネシアの裁判官の中に、日本で勉強したいとの希望するものが何人も出ているので、それらの人を短期間でもよいから招聘し、じっくり時間をかけて意見交換をしたいと考えている。 来年度は、地方裁判所、宗教裁判所から各1人の裁判官を学習院大学に招聘したいと考えている。
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