平成24年度は、インドネシアの和解、調停の現状視察、裁判官への指導、日本への招聘を行うとともに、今後の両国の法律家の発展を期待して、日本インドネシア法律家協会を設立した。具体的には、8月4日に出国~15日に帰国の日程でインドネシア現地調査のため、ジャカルタ、スラバヤに行った。ジャカルタでは、8月4日~11日まで滞在し、最高裁判所、司法研修所、ジャカルタ宗教裁判所、タルマネガラ大学を訪問し、意見交換、セミナーなどを行った。11日に日本インドネシア法律家協会を設立し、当職が理事長に就任した。その後、スラバヤへ行き15日まで滞在し、スラバヤ地方裁判所、アイルランガ大学を訪問した。 11月19日~12月2日にインドネシアの地方裁判所の裁判官1人、宗教裁判所の裁判官1人を学習院大学へ招聘した。期間中、東京家庭裁判所、弁護士事務所見学、高齢社会ADR研究会での報告、授業参加を通して、両国の紛争解決制度について意見交換した。 日本の調停は、関東大震災後の被災地での紛争解決に非常に役立ったこと、アチェの津波被害後の調停による紛争解決について日本からの遠隔指導が効果あったることから、震災被害地の復興について興味があり、平成24年12月22日~25日に岩手大学の震災復興シンポジウムおよび陸前高田市、宮古市の震災現場調査に参加した。また、平成25年3月10日~11日に弘前大学での震災復興シンポジウムおよび野田村の震災現場の調査に参加した。 日本は、高齢社会となっており、それから起こる困難な問題をADRの手法で解決できないかと考え、平成25年3月14日~18日に台湾に行き、裁判所、法務部、仲裁センターを見学し、高齢社会に起こる諸問題や成年後見制度、調停について意見交換した。 このように、ADRを柱として、日本の現状(震災と高齢社会)とインドネシアの現状(イスラムと経済発展)を比較研究した。
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