本年度は研究目的達成のために必要な資料の収集及び我が国並びにドイツにおける実態を調査することに主眼を置いて研究を行った。具体的には、(1)我が国及びドイツの資料の収集、(2)ヒアリングを含む実態調査、(3)資料及び実態調査から明らかになる問題点の確定、(4)我が国特有の問題点の発見という作業の作業である。 1.資料収集について本年度は、本研究に関する書籍・資料について、我が国およびドイツを中心としたヨーロッパの動向に関する文献を随時購入し分析を行った。そこから明らかになったことについては、下記の論文で発表した。 2.調査について 我が国の実態調査については、もっぱら在宅就業という形での下請負人の法律問題についてヒアリングを行い、そこから浮かび上がる役務提供をめぐる下請負の実態について新たな問題意識を得ることができた。 ドイツについては、震災の影響で半年遅れの8月に、ドイツに赴き、ヨーロッパにおける役務提供契約の第一人者であるバイロイト大学教授および、ミュンヘン高等裁判所裁判官、ドイツ人実務家弁護士にヒアリングを行い、ドイツ固有の実務上の問題や裁判例の他、ヨーロッパにおける法統一の可能性、その内容などについて専門的知識の提供を得た。 3.まとめ 上記の作業を行うことにより、先行するヨーロッパ・ドイツからの示唆、我が国の実態の問題点、さらには我が国の債権法改正動向における諸問題が明らかになり、翌年度以降の新たな課題を見つけ出すことができた。
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