研究課題/領域番号 |
22530089
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
芦野 訓和 東洋大学, 法学部, 教授 (40298039)
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キーワード | 下請負 / 従属的地位者 / 役務提供契約 / 請負契約 / 多角的法律関係 / 複合契約 |
研究概要 |
本年度も研究目的達成のために必要な資料の収集・分析・実態調査を行った。具体的には、(1)我が国でのアンケート調査実施の準備、(2)我が国及び諸外国の実態の解明、(3)資料及び実態調査から明らかになる<複数関与者>をめぐる問題の発見、という作業を行った。 1.資料収集・分析については、これまでの資料分析から、さらに必要であることが明らかになった文献の収集に主眼を置き、ドイツ文献の調査を行った。ヨーロッパにおける統一私法に関する動向についても分析し、その一部については研究成果として公表した。また、我が国の民法債権法改正における議論にも着目し、この点についても検討を重ねた。 2.実地調査については、さらには下請負に関連して、いわゆるトヨタ方式を採用している名古屋圏の実態調査も行った。実態調査に際しては、実態について問題点をよく知る研究者にヒアリングを行い、この結果、裁判例などでは明らかにならない実態についても知ることができた。さらに、役務提供契約の第一人者である国内法研究者にもヒアリングを行い、文献についての情報提供、アンケート項目に関する示唆を得ることができた。 3.アンケート調査について上記のヒアリングの成果をもとに、我が国の企業にアンケート調査を行うための準備が整った。具体的には、アンケート項目の作成、送付先に関する情報を得ることができた。 4.その他外部の研究機関においても、これらの調査をもとにした報告を行った。また、参加する実務家メンバーにもヒアリングを行い、震災後の状況についても聞くことができた。さらには、上記外部研究会主催団体からは、アンケートに関して送付先の選定、送付方法などについて有益な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響を受け、平成22年度に予定していたドイツでのヒアリングが、本年度にずれ込み、また、同じく東日本大震災の影響で、本研究の対象である下請負人およびその業界も大きな痛手を受け、ヒアリング・アンケートなどの実態調査が思うように進まなかった。とくに、アンケートについてはいくつかの対象にあたったところ、答えられる状況にないとの回答を得たため実施年度をずらさざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画について大きな変更点はない。今後は、対象先の復興状況を見ながらできる限り早い時期にアンケートを行い、実態調査に努めたい。幸いにして、徐々に復興しているようであり、それらの実態も研究成果の中に入れたいと考えている。また、その分析等を踏まえたシンポジウムの開催についても計画・事項したい。
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