研究課題/領域番号 |
22530092
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田山 輝明 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30063762)
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研究分担者 |
志村 武 関東学院大学, 法務研究科, 教授 (80257188)
黒田 実亜紀 明治学院大学, 法学部, 准教授
山城 一真 早稲田大学, 法学学術院, 助教 (00453986)
青木 仁美 早稲田大学, 法学学術院, 助手 (80612291)
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キーワード | 成年後見法制の比較法的研究 / 成年後見人の法定代理権 / 障害者権利条約 / 障害者本人の意思の尊重 / 意思決定のサポートシステム / 成年後見法の改正提言 / 成年被後見人の選挙権 |
研究概要 |
この研究の出発点においては、現行成年後見制度の改善という観点を重視していたが、障害者権利条約は、我々に新たな課題を設定することになった。日本は、同条約に2007年に署名したが、批准後に成年後見制度がどのような形で影響を受けるか、は必ずしも明らかではなかった。この間に、障害者団体とその関係者の方々の努力で、法律研究者(特に後見法の研究者)にとっての課題が少しずつ具体化してきた。現時点で成年後見制度に関する制度改正を提言する以上、真正面から現に投げかけられている課題に取り組まなければならない。そこで、本研究では、まず、成年後見制度の全法秩序における位置づけについて検討した。これは、現行制度自体の法的位置づけであり、法的評価をも含むものである。 障害者権利条約が提起している問題は、すでに我々に民法の改正を突き付けている。1999年の民法改正以来、今日まで、成年後見制度の発展を見守ってきた者としては、現時点で、上記の課題に対応する民法改正に対しての基本的観点だけでも提示しておく必要がある。それによって、多くの関係者の英知を結集して、直接・間接に法律改正作業に関与しなければならない。具体的には、障害者権利条約との関係において、成年後見人の法定代理権と成年被後見人の行為能力の制限が問題となる。そこで、この問題について、前年度の予算の繰り越し分により、ドイツのリップ教授の講演会を開催することができた。これによって、すでに障害者権利条約を批准しているドイツ(繰り越し分)とオーストリアの議論(前年度)を参照にして研究成果の中間まとめをすることができた。 現在、成果を単行本にまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較法的研究を先行させる形で、日本法の問題点を明確にし、日本法の改正提言の骨格を示しうるところまで、達している。すでに中間報告の内容となる原稿は出そろつていて、出版社に渡してある。研究グループで行った講演会は、討論内容を含めて、出版物に収録する。
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今後の研究の推進方策 |
障害者の、特に知的障害者のための法定代理権が抱える問題点が、障害者権利条約との関連で明確になったので、これに対する改正提言を行いたい。その際には、日本民法の関連条文の改正試案を示したいと思っている。すでにまとまっている中間報告(本年6月に出版予定)に対する意見の集約を先行させたい。
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