研究課題/領域番号 |
22530095
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
|
研究分担者 |
金子 宏直 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (00293077)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 消費者法 / 消費者 / 製造物責任法 / 不当条項 / 不公正条項 / 情報財取引 / UCITA / 電子商取引 |
研究概要 |
現代の情報化社会において、さまざまな取引形態によって、さまざまな商品が流通しており、情報社会において、いわゆる情報格差が拡大する傾向にある。消費者と事業者間の情報、交渉力の差に鑑み、契約締結過程(錯誤、詐欺、強迫等)に関わる法律、契約条項に関わる法律、情報化社会における新しい取引形態である電子商取引についての法などはどのようにあるべきかについて、消費者に関わる法制度、消費者庁などの政府機関の役割、消費者団体の役割、それらの背景にある消費者政策の目的にまで踏み込んで比較法的観点から検討した。 コンニャクゼリー死亡事件や、相次いだ食品偽装事件など、宣伝、広告、製品情報、製品についての警告などを含む、事業者から消費者への情報のフローについての問題が契機となり、消費者政策の重要性がさらに高まっていることにも留意した。 研究代表者の川和は、コンニャクゼリー死亡事件と製造物責任法をめぐる日本の判例、消費者法制と米国、EU,オーストラリア法における判例、消費者法制の比較法的研究を行い、英語の論文「Jelly Mini-Cups Containing Konjac: Is a Warning Enough to Protect Vulnerable Consumers?」を公表し、製品についての警告といった製品を取り巻く情報などについて検討した。さらに、英国の不公正条項規制が定める、信義誠実、当事者間の契約上の権利・義務の著しい不均衡、消費者の不利益、中心条項の除外、個別交渉条項の除外、明瞭性・透明性、作成者不利の解釈といった一般条項に関する不公正性を判断する要件について、その意義、要件相互の関連性についての議論、判例等を取り上げて考察し、論文を公表した。 研究分担者の金子は、コンピュータのソフトウエアをはじめとするデジタルコンテンツ(情報財取引)についての研究を行い、論文を公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消費者法制の背景にある消費者政策の基本的ポリシーにまで踏み込んで、消費者法制の実効的なありかたについて検討するという観点から、前年度は消費者概念について考察し、今年度はコンニャクゼリー死亡事件を巡る日本の判例、消費者法制、米国、EU,オーストラリアの消費者法制を比較検討した。さらに、英国における一九七七年不公正契約条項法 、消費者契約における不公正条項に関する一九九三年四月五日のヨーロッパ共同体理事会の指令が国内法規化された一九九九年消費者契約における不公正条項規則の検討を行った。 研究分担者の金子は、コンピュータのソフトウエアをはじめとするデジタルコンテンツ(情報財取引)についての研究を行い、論文を公表した。
|
今後の研究の推進方策 |
さまざまな側面からの研究が考えられるが、前年度は消費者の人的特性に注目した研究を行い、今年度はコンニャクゼリー死亡事件と製造物責任法、輸入規制、行政規制を含めた消費者法制の比較法的検討と、英国における一九七七年不公正契約条項法 、消費者契約における不公正条項に関する一九九三年四月五日のヨーロッパ共同体理事会の指令が国内法規化された一九九九年消費者契約における不公正条項規則をとりあげ、不公正条項かどうかを判断する要件について検討した。さらに、コンピュータのソフトウエアをはじめとするデジタルコンテンツ(情報財取引)についての研究も行った。今後の研究課題として、引き続き、契約締結過程に関わる問題、契約条項に関わる問題、情報財取引に関わる問題についても検討していきたい。
|