2011年3月11日の東日本大震災以降、原子力発電への依存度は低下せざるを得ず、日本におけるエネルギー構成が変わらざるを得ない状況にあるなかで、引き続き気候変動問題に適切に対処していくためには、明確なエネルギービジョンの策定に加えて、中長期的な目標に対して確たる法的根拠を付与したうえで、当該目標達成に向けての明確かつ具体的なプロジェクションと方途を示していくことが求められており、それを可能とする法的枠組みの整備ならびに関連法令の改正、具体的な施策やプログラムの提示は喫緊の課題となっている。 本研究においては、気候変動に係る基本法および個別法を含めた法的枠組みの再構築ならびに政策パッケージのあり方について、EUおよびイギリスといった諸外国の状況に係る調査研究を踏まえつつ、比較法的ならびに法政策的な観点から検討し、提示するこ とを目的として、欧州における最新動向をフォローするとともに、とりわけ、ポスト京都議定書をにらんだ国際交渉の場においてイニシアティブをとるべく、積極的な削減目標値の設定とその達成に向けたロードマップの提示にきわめて熱心な取組みをみせているEUに焦点を当てて、気候変動政策を含む環境政策の発展経緯と法的根拠、2020年を目途とする気候変動政策ならびにエネルギー政策パッケージの概要とそれを構成する各種立法措置の詳細、2050年に向けた長期的ビジョンについて把握・整理して、検証した。
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