研究概要 |
文学・芸術を学ぶ大学生は、テキスト技法、作品制作技法等を修得する過程で、法的権利義務の発生、保護、衝突、などに少なからず直面する。所与の実践コミュニティとしての文学・芸術の教育ないし学習という状況に法教育の契機が埋め込まれている、という視座がここに生じうる。 本年度の研究ではこうした視座から、1、文学・芸術分野における法と教育の理論研究を行い、2、文学や藝術の学習現場という実践コミュニティの具体に立ち入って法教育契機の経験的なデータを収集し、3、文学・芸術を学ぶ学生を調査対象として、法学習契機を日常の様々な制作実践に見いださせ、4、その典型的な場面をシナリオ化し教材(ウェブサイト、小冊子問題集)を学生と協働で作成する、そして、最終年度にあたる平成24年度には、5、その教育効果を測定、分析、発表し、本研究の一応の総括を行うことを予定していた。 1、については当初、著作権、表現の自由、工業所有権といった実定法教育を文学藝術分野でどのようにとりあげるか、という問題意識をもって臨んでいたが、本年度は、文学藝術の学習現場の文脈そのものに焦点をあてて、そこに法教育の契機があるかどうかを探る、即ち、「はじめに文学藝術教育ありき」と考えて調査をすすめる必要があることが意識されるに至り、メディアスタディに埋め込まれた法教育契機の問題としてこれを雑誌『文学藝術』に発表した。同様の問題を扱う諸外国(特に英米法)の研究者(Austin Sarat,Paul Kahn,Franklin Strier,Oren Ben-Dor,Peter Goodrich)の業績について包括的にまとめて平成24年度法と教育学会に発表を行う予定である。2、については、メディアオーディエンス分析の観点から行った研究成果について、平成24年1月に開催されたTechnology Knowledge and Societyの第11回国際会議にて発表を行い、本研究者所属大学の教養教育課程開催の卒業生対象中学高校教員対象講演会にて講演を行った。3、4、の一部については本年度3月の調査をもとに、平成24年6月にホ
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