研究課題/領域番号 |
22530111
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
木村 昌孝 茨城大学, 人文学部, 教授 (10240681)
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キーワード | 選挙研究 / 選挙行政 / 電子投票 / フィリピン政治 / 情報通信技術 |
研究概要 |
2010年に行われた同時選挙のフォローアップ調査のため、2011年度は、4月27日から5月7日までの11日間と9月5日から9月9日までの5日間フィリピンに滞在し、'選挙自動化の様々な側面を調査した。特に、選挙行政改革にかかわる様々な主体、すなわち、政府機関、特に、選挙管理委員会、行政府、議会(Senate Electoral Tribunal 及びHouse Electoral Tribunal)、並びに地方裁判所及び最高裁判所、政党等の政治勢力(AKBAYAN、BAYAN MUNA、Liberal Party等)、国際NGO(International Foundation for Electoral Systems)の関係者及び選挙研究者(特に、デ・ラ・サール大学、フィリピン大学、及びアテネオ・デ・マニラ大学)とのインタビューを行い、同時に関連資料及び選挙データを入手した。 以上の調査と入手した資料及びデータに基づいて行った研究の成果については、フィリピンのバコロド市で開催されたフィリピン政治学会で"Post-election Assessment of the Nation-wide Automation of the 2010 Synchronized Elections in the Philippines"と題する報告を行った。その内容は、「フィリピンの選挙行政における情報通信技術(ICT)の導入:2010年同時選挙の全国的自動化を中心に」と題する論文として、茨城大学地域総合研究所年報に発表した。その要旨は、以下のとおりである。 2010年の同時選挙は、初めて全国的に実施されたマークシート方式による投開票と開票・集計結果の電子送信を柱とする選挙自動化であった。これについて、選挙行政研究の立場から、選挙人登録、投票、開票、及び集計の4つの局面において、選挙権の保障、不正防止、及び選挙行政の合理性(正確性、効率性、経済性)の3つの観点から分析し評価した。この試みは、一部に厳しい批判はあるものの、開票・集計時間を大幅に短縮し、一部地域を除き秩序だった選挙を実現する等、一応の成功を収めたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィリピンの選挙自動化が中心課題であり、これまでの研究成果を2010年度の日本選挙学会で報告したのに続き、2011年度は、フィリピン政治学会で英語で報告し、また、論文としても発表した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ、順調にいっているので、2013年5月予定のフィリピン同時選挙自動化の調査に備えるとともに、本研究課題から今後の発展の方向を探り、次の研究課題を見つける。
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