この研究は、第一に、アメリカでは、環境、平等、消費者保護などの公共利益が分離して認識されがちであるのに対して、日本ではそれらが連続して認識されがちであることを指摘し、前者のような理念を公共利益の多元主義、後者のような理念を公共利益の一元主義と呼んだ。第二に、両国における公共利益をめぐる理念の相違が、公共利益団体の組織・選好・政策・行動にどのように影響しているかを検討するために、アメリカの消費者金融保護局と日本の消費者庁をめぐる動向を事例の一部としながら、両国の消費者団体の組織・選好・政策・行動の相違を比較の視点から検討した。
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