研究課題/領域番号 |
22530123
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河田 潤一 大阪大学, 法学研究科, 教授 (00104729)
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キーワード | 社会資本 / エンパワーメント / 信頼 / 産業地域事業団 / コミュニティ組織化 / 市民社会組織 / 草の根民主主義 / ソール・アリンスキー |
研究概要 |
本年度は、昨年に行った産業地域事業団(Industrial Areas Foundation、以下、IAFと略記)東部地区の代表的組織である東ブルックリン・コングリゲーションズ(East Brooklyn Congregations)への訪問調査をベースに、その全国連合であるIAFの史的展開、指導部の変化、組織構造、活動の検討を行い、その結果を、「産業地域事業団(IAF)のプログレッシブ・ポリティックス--アメリカにおける草の根民主主義の実践に向けて」として公刊した。 IAFは、関係的組織化を幅広い社会的基盤をベースに長年にわたって実践してきており、その創発的プラクシスの中に「埋め込まれた」参加と権威の連邦型代表制システムは、コミュニティ組織化活動を通して、多様なメンバーの間に「架橋型社会資本(bridging social capital)」を培養し、それをベースに政治的エンパワーメントを図る、極めて重要な市民社会組織であることが、同論文において主張される。 IAF型の草の根組織は、民主的ガバナンスと多数の市民の関与を可能とする代表制システムを介して自己統治しようとする。グローバル化した国家と市場が揺らぐ中にあっては、こうした力ある市民社会組織の存在は不可欠であろう。上記論文の意義は、そのような存在としての産業地域事業団(IAF)を初めて本格的に検討に付したところにある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度(初年度)、平成23年度ともに予定通り、各年度それぞれ1編を公刊している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集した資料を基に、IAFの政治哲学と思想を、組織の創設者であるソール・アリンスキー(Saul Alinsky)と継承者アーネスト・コルテス(Ernesto Cortes, JL)を中心に検討をする。さらに、イタリア南部の「遅れた市民共同体」の実像を、「道徳以前の家族主義(amoral familism)」概念を中心に歴史的に検討する。
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