一九二〇年代以降における植民地官僚は、政党政治の政策の実験場か、または焼き直しの場であり、そこにおいては植民地内および被植民地者の実情に即応した政策の立案や実行という点では全く不十分であったことを確認した。そこで重要な視点は、植民地官僚の性格規定に関する問題である。すなわち、近代日本の官僚が戦時官僚化する内在的側面と、官僚の性格に変容を迫った外在的側面とを、どのように捉え直すかということである。そのどちらの側面を強調するかによって、近代日本官僚制の性格を規定することになる。それで結論的には、その両側面を同時的に捉える視点の確立である。常に両側面は、相互に規定しあう関係としてあったことである。
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