研究課題/領域番号 |
22530138
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坪郷 實 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061)
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キーワード | NPO / アドボカシー / 政策提言 / 市民自治体 |
研究概要 |
本研究の第1の目的は、国際比較研究を基礎にして日本におけるNPOのアドボカシー活動の現状と課題を明らかにし、この機能を強化するための政策提言を行うことである。第2の目的は、国政レベルにおけるNPOの基盤整備のための改革と、自治体レベルにおける市民活動促進制度の現状と課題を分析し、政策提言を行うことである。今年度は以下のような調査研究を行った。 (1)ドイツにおいて環境団体によるアドボカシー活動について調査を行い、近年新たに展開されている「市民活動政策」に関して分析を行った。ドイツでは、市民活動促進のために基盤整備(税の軽減、多様な市民活動支援センターの設置など)が行われ、市民活動の促進のための制度や機関が作られている。連邦議会に市民活動小委員会が設置され、2009年から「市民活動と参加のためのナショナル・フォーラム」が開催され、政策づくりにおいて市民社会・学問・経済分野からの政策専門家が参加する新しい場が創出されている。重要な参考事例である。 (2)NPOのアドボカシー活動の事例調査として、上越市のくびき野NPOサポートセンター、いわき市で被災者の支援活動を行っている「なこそ復興プロジェクト」について、ヒアリング調査を行った。地域においてネットワークを形成し、寄附によって活動資金を獲得するという事例について新たな知見が得られた。コミュニティと政策アドボカシーに関しては、上越市と沖縄県国頭村において、ヒアリング調査を行った。 (3)NPOのアドボカシー(政策提言)活動に関して、中間的な整理を行い、論文として発表した。さらに、「新しい公共」推進会議の成果と課題について分析を行い、市民社会部門の強化のための課題として、「新たな出資型非営利法人制度の創出、自治体とNPOの間で締結される公契約に関する課題、休眠預金の活用」などを提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NP0のアドボカシー活動に関して事例研究を行い、国のレベルにおける市民活動の促進のための基盤整備として行われた新たな寄附税制と被災者支援の仕組みの提案に関して分析を行い、中間的整理を行った。この成果を論文として公表をした。さらに、国際比較研究に関しては、ドイツにおいて調査を行い、イギリスについて予備調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、国際比較研究に関しては、ドイツ調査を行ったが、イギリス調査に関しては予備調査にとどまった。NPOのアドボカシー活動に関しては、関東圏、福島県、新潟県、沖縄県における事例研究を行った。次年度において、イギリス調査を行うとともに、NPOのアドボカシー活動の事例研究を集約し、最終的に分析を行う。今年度中間的に行った政策提言をさらに進め、「NPOのアドボカシー活動」の強化と市民活動促進のための基盤整備に関して政策提言をまとめる。
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