本研究の全体目的は、自民党小泉政権から民主党鳩山政権期における「国レベル」と「地方レベル」の政策過程の相互関係を空間理論から分析することである。具体的には、政治主体である政党・有権者の行動を定式化し、ゲーム理論を用いて政治主体の行動から政策の均衡点を導出し、現実の政策との均衡点の比較分析を行った。分析結果から得られた知見は、選挙における国政レベルや地域政党と有権者の政策位置は、理論的均衡点とデータによる政策位置には乖離がみられ、互いに非合理性を内包していたことである。また、国政と地方の政策過程の相互作用は、地域政党が自壊していくことにより、確認できなかった。また、研究対象とした時期には、有権者の政治不信が顕著に上昇しつつある時期でもあったため、有権者の政治不信の構造に関しても研究を行った。その結果、有権者の理論的な政策位置現実の政策位置に乖離をもたらす一つの要因として政治不信があることが明らかになった。
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