研究課題/領域番号 |
22530150
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
後藤 春美 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00282492)
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キーワード | 国際連盟 / 社会人道問題 / イギリス / 東アジア / 中華民国 / 技術協力 / 満州事変 |
研究概要 |
本年度は、夏期休暇中に半月ほどイギリスとジュネーヴに赴き、イギリス公文書館、大英図書館、ロンドン大学政経学院、国際連盟資料館において資料の収集を行った。とくに、1931年の満州事変勃発以降1932年にかけての国際連盟の対中国技術協力問題に関する資料を収集した。国際連盟の対中技術協力問題に関しては、すでに、2005年度から2007年度にかけて参加した科学研究費基盤研究(B)「ヨーロッパ近現代史における中心=周縁関係の再編」(代表・千葉大学・小沢弘明氏)や2006年度から2008年度にかけて基盤研究(C)「イギリスおよび国際連盟の婦女子売買禁止問題への取り組みに関する研究」(代表・後藤春美)でも一部取り扱ったが、これら以前の研究で扱わなかった1931年から32年に集中して検討した。1931年夏、中国揚子江の氾濫に対する国際連盟の援助、満州事変期のライヒマン国際連盟衛生部長の中国における活動など、興味深い情報が収集できたと考えている。前者に関わったイギリス人、サー・ジョン・ホープ・シンプソンは、インド高等文官の出身で、インドにおいて洪水などに対処した経験があった。彼のように帝国支配の経験から国際連盟の活動に携わるようになった者は複数存在することもわかってきた。シンプソンは、この洪水対処のための中国滞在から、中国におけるロシア人難民問題にも関心を持つようになったという点も興味深い。ライヒマン国際連盟衛生部長に対して、1930年代の日本は強い否定的意見を持つようになったのだが、満州事変期の彼の活動も非常に親中国的であることがわかった。このような資料収集をした後、秋以降は、収集した資料を論文にまとめる作業を行った。これは現在も続いており、論文完成の暁には北岡伸一氏退職記念論文集の1章として収録される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度、第二年度においては、資料の収集は非常に順調に行うことができた。初年度の成果は、他の研究の成果と合体させて、研究報告書の一章としてまとめることができた。また、第二年度の成果も現在論文にまとめる作業を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までほぼ計画に沿って順調に研究を行うことができているので、今後もこの方法で研究を進めていきたいと考えている。
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