2010年9月、2週間にわたり米国カルフォルニア州のレーガン大統領記念図書館、およびワシントンDCの米国国立公文書館を訪問し、機密解除された1970年代から80年代にかけての米国外交文書を調査し分析することで、韓国の外交政策に関する、より立体的で複合的な分析を進めた。具体的に、そうした史料をデータベース化し、その分析作業を進めた。さらに、2011年2月、韓国外交史料館を訪問し、機密解除される1980年の韓国外交史料館所蔵の外交文書に関する調査を行なった。 また、外交史料に基づいて韓国外交の研究に取り組んでいる〓良鉱外交安保研究院教授らと意見交換をして、資料情報の共有や研究の相互評価を行なった。そして、韓国の対共産圏外交、対第三世界外交に関する検討作業を進めた。この結果は、近いうちに学会誌における学術論文として刊行予定である。 以上の研究成果は、主として、3つの方向で現れた。第一に、1970年代朴正熙政権の外交に関する再検討作業であり、特に、米中和解に対する対応として、単に南北対話を進めただけでなく、対共産圏外交、対第三世界外交を、北朝鮮との外交競争という観点から積極的に行ったことを明らかにした。そして、それが、後の北方外交の起源を形成したことを明らかにした。第二に、1910年から100年を迎えた日韓関係を概観し、それを東アジア共同体という枠組みに位置づけるという知的作業を、現状分析と合わせて行った。第三に、1970年代の韓国外交と北朝鮮外交とを比較するという作業を通して、現在における北朝鮮の核開発が1970年代の韓国の核開発との類似性を持っていることを明らかにした。
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