研究概要 |
平成24年度は、平成23年度に出版した単著『核不拡散をめぐる国際政治』をさらに発展させ、また、福島第一原発事故の教訓を踏まえた、国際的な核不拡散体制の動き、および変容する国際安全保障と核の関係性についてのいくつかの論考を日本語、および英語にて発表した。主たる論文は、「核軍縮の次のステップと『戦略的安定性』」、『外交』(2012年8月号)、"The Compliance Structure of the Nuclear Non-Proliferation Regime and Japan's Non-Proliferation Policy Assets," Hitotsubashi Journal of Law and Politics, Vol.41 Feb. 2013), "Can Japan Remain Committed to Nonproliferation?" co-authored with Kenta Horio, the Washington Quarterly, Spring 2013、である。 これらの論文の発表を通じ、核不拡散レジームにおける、平和利用の奪いえない権利という第4条規範と、NPT条約の基礎的な規範である不拡散の実効性担保の関係が、福島原発事故後に変化し、より不拡散重視の志向が強まったこと、また事故後の日本の役割として不拡散への関与の重要性が国際社会からも期待されているが、その役割を果たすことの難しさについても、論考を提示した。 これらの論文は、核不拡散問題における日本の政策を理論および実証の両面から説明する数少ない論文として、研究コミュニティからは評価を受けている。
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