研究課題/領域番号 |
22530153
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗栖 薫子 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00294968)
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キーワード | 規範 / 国連 / 日本外交 / 人間の安全保障 / 保護する責任 |
研究概要 |
2011年度(第2年度)は、第一に、国際的な規範的概念の形成過程についての文献・インタビュー調査を実施し事例研究を遂行すること、第二に、人間の安全保障ならびに保護する責任の規範的アイディア形成については、国内外の学会での報告と成果の公刊を目標とした。 第一の目標については、国内において規範形成ならびに受容・普及過程(これらは相互に連関)についてのインタビュー調査を数回実施し、特に普及ならびに受容過程についての重要な仮説をえるにいたった。またイギリスでのアーカイブ調査(National Archives)において、国際的レベルでの規範形成と普及についての他の事例を参照し、本研究の仮説を下支えする有益な情報をえることができた。 第二の点については、規範的アイディア形成にかかる日本の積極的なエイジェントとしての役割を分析した論文を9月に中国のFudan大学での国際会議において報告し、11月には査読付き国際ジャーナルAsia Pacific Reviewに掲載することができた。保護する責任との対比を解明した部分については、7月に公刊された『国際問題』について公表した。研究協力者の政所大輔は、保護する責任規範の普及についての論文を執筆し査読を通過し、近く『国連研究』において本年6月に公刊されることになった。クロス京子は移行期正義概念の生成におけるトランスナショナルな専門家コミュニティについての研究を進めており、近く公刊予定である。 2012年1月に神戸大学において小規模;なワークショップを開催することはできなかったが、かわりにイギリスのエセックス大学で開催された国際会議に出席し、そこでエセックス大学のHanDorussen氏ならびにIsmeneGizelis氏、大村啓喬氏(滋賀大学)らとの共同研究発表(国連PKOによる人間の安全保障へのインパクト研究)の場を通じて、本科研の研究成果を活かし本問題についての意見交換を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人間の安全保障については規範的概念形成の過程をほぼ解明することができた。保護する責任については、介入と国家主権に関する国際委員会(ICISS)の内部議論についてさらに調査する必要があるが、多くの部分を調査することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は最終年度にあたるため、限定的な理論仮説の形成にむけて事例研究からのフィードバックを行っていく必要がある。
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