平成24年度はこれまで2年間にわたって実施してきたアメリカ公文書館、アイゼンハワー大統領図書館などでの一次史料を基にして、「アルジェリア戦争とアメリカ国務省」をテーマに研究を取りまとめ、その過程で日本国際政治学会研究大会での部会「脱植民地化・冷戦・同盟」において単独報告発表を行った。また年度末にはその報告ペーパーを修正したものを論文として公刊した。アメリカ国務省内部には同盟国フランスを支持しながらも、アルジェリアの民族解放勢力やそれを支援するアジア・アフリカの新興民族主義勢力との間でバランスをとろうとして、仏米関係を また、フランス国内の脱植民地化に抵抗する勢力を分析する必要上、夏のフランスでの史料調査を踏まえて、筆者はフランス後進地域の中小商工業者層を中心とする反税運動・プジャード運動が、植民地アルジェリア死守を叫ぶ帝国主義的・排外主義的右翼運動に変質していく過程を、ポピュリズム運動の古典的事例として取り上げ、これについて論文化し、公刊した。 さらに、日本国際政治学会の機関誌『国際政治』の公募特集「戦後イギリス外交の多元重層化」に応募し、論文をまとめて送ったところ、査読のうえ、採用され、まもなく公刊される。 最後に、植民地支配の遺産ともいうべき現代フランスの移民問題との関連で、ホームレス問題を取り上げ、それを支援する社会運動と政治の関連を考察し、これも筆者の属する香川大学法学部創設30周年記念論文集の掲載論文として寄稿・公刊した。
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