本研究は、国内政治が対外政策、特に安全保障政策の形成と実施において及ぼす影響が生じる過程の分析を通じて、政策の連続性と非連続性を確認し、個々の具体的政策の評価を行うために個々の政策についての背景、形成、決定、実施の連鎖を明らかにすることである。 本研究において、日本という同盟国への米国の軍事的関与の具体化は、米軍プレゼンスの承認であることを明らかにした。 (1)その具体的な拠点として沖縄を承認することが日米同盟の根幹をなす。いわば、沖縄がアジアにおける米軍プレゼンスの象徴として捉える。(2)そのことの意味は、沖縄に米軍が存続する限り、アジア太平洋地域の安全保障を自ら考える機会を失ってきたということである。 つまり、この地域にある各国の安全保障政策は、沖縄に甘え、自らの負担と危険を回避することにより可能となった。(1)米国の覇権は、アジア太平洋地域では米軍プレゼンスに支えられ、それが沖縄の犠牲の上に成立したのだ。(2)米国の同盟国は、米国覇権へフリーラライド(ただ乗り)するために、沖縄を跳躍台に使い続けてきたのである こうした研究の詳細は、報告において展開した。政権交代にも関わらず日本の安全保障政策はほとんど変化をしなかった。しかし、米国の国防基本戦略の変化や財政上の制約によって対アジア政策の変化し始めている。
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