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2010 年度 実績報告書

ロシア地政学の系譜から検証する「北方領土問題」

研究課題

研究課題/領域番号 22530156
研究機関岩手県立大学

研究代表者

黒岩 幸子  岩手県立大学, 共通教育センター, 准教授 (80305317)

キーワード地政学 / ロシア / ユーラシア主義 / 北方領土問題 / クリル列島
研究概要

ロシアの領土観、国境概念の変遷と特徴をたどるための基礎研究を行った。
20世紀はじめに西欧の地政学に刺激を受けて、ロシアにも地政学の系譜が生まれる。しかし、ソ連時代は、地政学がナチスドイツの領土拡大を正当化するための理論として援用されたこともあり、地政学はブルジョワの学問としてタブー視された。
しかし、ソ連邦崩壊とともに、新たな国際関係の構築を模索するロシアの中で、地政学は大きく注目されるようになる。ロシア共産党のジュガーノフ党首から、排外的民族主義を主張するジリノフスキーにいたるまで、多くの政治エリートや研究者が地政学的見解を開陳していった。
過去20年のロシア地政学は、新しい国際関係におけるロシアの位置を確かめようとするための手段から、次第に広範な研究に移り、現在では多くの地政学入門書も現れ、大学の教養科目にも取り入れられるほど一般化した。
欧米の地政学の流れの中に、ユーラシア主義者など西欧では紹介されないロシアの地政学者を組み入れたものが、地政学の一般書として紹介されていることがロシアの特徴である。
ロシアにおける地政学の普及にともない、ロシア側にクリル列島を地政学的な視点から重要視する傾向が見られるようになった。例えばロシア科学アカデミーが半世紀の調査実績のもとに2007年に出版した「クリル地誌」にも、その意識は明らかである。近年日本に境界研究がようやく登場してきたが、北方領土については、歴史的経緯を重視する日本と地政学的アプローチをしているロシアとの間にいっそう大きな齟齬が生まれているといえる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 辺境から世界が見える:根室、那覇、ボロジノ、南大東、そして対馬をつなぐ時空間2011

    • 著者名/発表者名
      黒岩幸子
    • 雑誌名

      ライブ・イン・ボーダースタディーズ

      巻: 5 ページ: 53-58

  • [雑誌論文] Hama Yukiko "Shto Takoe Evraziistvo?"(露文・書評)2010

    • 著者名/発表者名
      黒岩幸子
    • 雑誌名

      Japanese Slavic and East European Studies

      巻: 31 ページ: 136-143

    • 査読あり
  • [学会発表] マクロとミクロの視点から検証する北方領土問題2011

    • 著者名/発表者名
      黒岩幸子
    • 学会等名
      不安定研究会
    • 発表場所
      東京・共同通信本社
    • 年月日
      2011-03-25

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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