研究課題/領域番号 |
22530160
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
重政 公一 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (20362600)
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キーワード | 国際協力 / 市民社会アクター / ASEAN / 人権協力 / ASEAN憲章 / AICHR / 社会関係資本 / 水平対話 |
研究概要 |
本年度は昨年度のASEAN憲章策定をめぐるASEAN-ISIS(ASEAN戦略問題研究所群)と市民社会アクターとの関わりをベースにした、2009年ASEAN政府間人権機構成立に至るトラック2気とトラック3との関与を中心に研究を進めた。このため、ASEAN加盟国内でのシンクタンクから出版された二次資料としての文献や当事者の回顧録を文献精査するとともに、本研究の中心的な位置づけをなすトラック2アクター(フィリピン:国際開発戦略研究所、インドネシア:戦略国際問題研究所、タイ:チュラロンコン大学)、トラック3アクター(フィリピン:ASEAN人権メカニズムワーキンググループ、タイ:フォーラム・アジア、ピープルズ・エンパワーメント、インドネシア:ヒューマン・ライツ・ワーキンググループ、ヒューマン・ライツ・リソースセンター)で聞き取り調査を行った。 現地調査は上記のトラック2,トラック3アクターに加えてASEAN事務局でも行い、これまでに得られた調査内容の事実確認とASEAN政府間機関がトラック3アクターをどのように認識し、ASEAN憲章以降の人権協力に関与させているかを調べた。 本研究のトラック2とトラック3との競合的協調関係を分析するうえで、市民社会論、ソーシャル・キャピタル論、ソーシャル・ネットワーク論への研究を同時に敢行し、「水平的対話」モデルを俎上にあげ分析概念として活用するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地でしか得られない調査を順調にこなし、市民社会論、ソーシャル・キャピタル論など社会学的アプローチも援用しつつ2月から学会誌への投稿のため論文執筆を行った。さらに、研究初年度に加えて、市民社会アクターの調査の幅を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当面は次の二点を研究していく。第一に2011年度中にASEAN人権政府間機構が完結できず、本年度まで持ち越しとなったASEAN人権宣言をめぐるトラック1からトラック3とのせめぎ合いのフォローである。ASEAN人権宣言策定に至るASEAN(トラック1)とトラック3市民社会アクターとの競合的協調関係の分析を引き続き行う。 第二に学会誌(日本語)に投稿した論文を上記の調査も踏まえ、加筆修正し英文にし、東南アジア人権ネットワーク主催の会議にて報告するとともに、英文ジャーナルへの投稿を進あていく。
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