研究課題/領域番号 |
22530161
|
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20419253)
|
キーワード | 国際政治経済 / IMF / 金融政策 / 海外援助 |
研究概要 |
本研究は、国際通貨基金(IMF)が各国の銀行民営化・銀行規制強化など種々の金融政策改革において果たす役割を明らかにしようとするものである。IMFのコンディショナリティ・プログラムの影響を中心に、その国への海外からの経済援助やその国の政治制度がそれぞれどのような相互の関係を持って金融政策に影響を与えるかに着目し、こうした政治的要因が銀行民営化・銀行への監督権限強化などの金融政策にどのように影響を与えるかを、グローバルデータを用いた計量分析および事例研究を通じて明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、計量分析について、昨年度作成したグローバルデータベースを改善するために、IMFに関する指数、とりわけIMFとプログラム合意に達した年とプログラム履行を行なっていた年の変数をコード化した。また独立変数と従属変数との間の内生性バイアスや選択バイアス問題に対する方法論を習得するため、米国ミシガン大学にて、ICPSR(Inter-university Consortium for Political and Social Research「政治・社会調査のための大学協会」)夏期プログラムにて統計学のコースを履修し、方法論の習得に務めた。現在はこうした方法論を用いた分析を行うべくさらに方法論の習得を続けている。 また、証券市場改革を含む金融改革7分野についての計量分析を行う予定であったが、銀行改革分野および資本収支の自由化に分析を集中するため、証券市場改革をはずした6分野を計量分析の対象とすることとした。また論文の理論的焦点を明確にするため、論文の中心的な議論を、IMFと米国経済援助との関係に置き平成24年4月の米国での学会発表に向けての論文執筆を行なった。現在は、米国からの援助が多いほど、IMFとのプログラムに過去二年間以内に合意に達成した国で、より米国から海外援助を受けている国ほど、金融改革を行うという知見が得られている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計量分析について順調にデータベース作成とその改訂を行なった。また、方法論の習得に向けてICPSR夏期プログラムを受講し、必要な方法論への理解を深めるなど、本研究の中心課題である計量分析の研究が進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
IMFスタッフへのインタビューのためにIMFを平成23年夏に訪問することを計画していたが、IMFスタッフの都合がつかず、中止した。従って、平成24年夏のワシントンDCへの訪問を計画している。再度IMFスタッフの都合がつかずインタビューが無理だった場合には、IMF東京事務所にてインタビューを行う予定である。そのほか、計画の変更点としては、金融改革7分野についての計量分析を勧める予定であったが、銀行改革分野および資本収支の自由化に分析を集中するため、証券市場改革ははずし、6分野を分析の対象とすることとした。また今夏アメリカ政治学会発表予定の論文では、論文の理論的焦点を明確にするため、引き続き中心的な議論を、IMFと米国経済援助との関係に置く予定である。 また、当初インドネシア・タイ・韓国の3ヶ国の事例研究を行う予定であったが、すでに論文が英語で1万語を超えているため、投稿論文の長さに関する規定を鑑み、投稿論文としては、インドネシア・タイのみの二ヶ国の論文とすることとし、現在投稿に向けて準備中である。
|