研究概要 |
中国の「真珠の数珠/真珠の首飾り」戦略(string of pearls strategy)とは、中国が中東から中国南部に至るシーレーン沿いに展開している一連の外交・軍事的措置のことである。平成22年度、本研究は、(1)中国がパキスタン、スリランカ、インド、イラン、湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council)諸国に対する政策を如何に展開し、如何なる関係を構築してきたのかを分析し、(2)これらの国に対する中国の外交・軍事政策を比較研究し、(3)「真珠の数珠/真珠の首飾り」戦略が日本やアメリカに及ぼした影響を分析した(具体的な成果については、以下などに収載:「国交60周年を迎えた中印関係」『中国研究月報』、「中国の周辺外交と対インド関係」「中国の周辺外交と対イラン関係」「中国の大国外交と対アメリカ関係」『中国外交の世界戦略』明石書店、『中国外交の世界戦略』、「台頭する中国と日米中関係」『グローバル・クライシス』風媒社、"Japan's Perspectives toward Rising China", Herbert S.Yee (ed.) China's Rise, Routledge等。また、日本エネルギー研究所や政策研究フォーラムなどで研究報告を行った)。 インド洋、ベンガル湾、アラブ海での中国プレゼンスの増大は、各地域や国に対する政策の枠組みからだけ捉えられるべきものではない。「富強大国化する中国」の外交政策・戦略を、地域外交政策ではなく、東南・南・中央・西にかけての帯状のアジアに対する中国の外交政策として、包括的な国際関係の視角から研究したことが第一の意義である。第二の意義は、研究計画時点よりも延長された、ギリシア要因も含めたアフリカ・西ヨーロッパからの一連の外交構想から、研究した点である(成果は「対ヨーロッパ関係」『中国年鑑2011年』収載)。
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