研究概要 |
中国の対日政策は二国間関係だけの枠組みからだけでは分析できるものではない。中国外交の基軸である「大国外交」「周辺外交」「途上国外交」の大枠において、とらえられるべきである。中国の「真珠の数珠戦略」は、アメリカの「アジア回帰戦略」の文脈において日本では注目されているが、近年のアメリカによる中東・アフリカ地域への戦略を中国が注視する「アフリカ回帰戦略」の文脈からアプローチ、また両者を包括的にとらえてアプローチした本研究は、日本における中国外交研究での学術的な意義があったと言えよう。2017年をターニング・ポイントとするエネルギー資源をめぐる中東・アフリカの地政学的意義が変わろうとしている。中東・アフリカ地域におけるエネルギー資源調達をめぐり、日中の競争が激化しようとしている。また、近年の日本の尖閣諸島をめぐる中国の途上国外交、国連などにおける多国間外交において、東アジアから中東に至る中国外交を整理し分析を続けていくことは、極めて重要であると言えよう。 本研究成果の具体的な成果は、以下の「13.研究発表」で示した。また、インドのネルー大学や東京における国際シンポジウムなどにおいても公表した。その成果は共著(India-Japan relations in Emerging Asia)で執筆し、インドで刊行されたため、日本人の中国外交研究者による日中印関係の分析を発信することに成功できたと考える。また、2013年度に刊行予定の英書共著(The Troubled Triangle: Economic and Security Concerns for the United States, Japan, and China)にも本研究成果を掲載してもらえたことで、国際的に発信できたと考える。
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