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2011 年度 実績報告書

国際関係における文化のポリティクス:ドイツ対外政策における文化の活用と対象化

研究課題

研究課題/領域番号 22530163
研究機関成蹊大学

研究代表者

川村 陶子  成蹊大学, 文学部, 准教授 (80302834)

キーワード政治学 / 国際関係論 / 国際交流論 / 文化 / 対外政策 / 文化政策 / 文化交流 / ドイツ
研究概要

本研究は、ドイツの対外文化政策を歴史的・実証的に分析し、そこで展開される「文化のポリティクス」を検討することを通して、国際関係における文化の扱いについての考察を深めることを目指している。
平成23年度は、年度初めに予定した三つの作業を、以下のように進めた。
(1)サーベイ:ドイツの対外文化政策および幅広い関連テーマを、文献調査を通じ検討した2010年夏以降、ドイツ本国で幅広い意味での多文化共生をめぐる論争(「ザラツィン論争」)が起こったことをふまえ、同論争についてとりわけ集中的に調査し、議論の対立軸を本研究で扱う「文化のポリティクス」との関連の中で考察し、論文を執筆した。
(2)史資料の調査分析:前年度までに収集した史資料の分析を進めるとともに、さらなる調査を行った。2011年8月には東京のドイツ東洋文化研究協会(OAG)および東京ドイツ文化センターで資料閲覧とインタビュー、2012年3月にはベルリンの連邦議会アーカイヴおよび外交史料館にて文書閲覧を行った。西ドイツで対外文化政策の改革が進んだ1970年代における、同政策の実態に関する資料情報(連邦議会調査委員会の記録、個別事業に関する文献および情報)を収集した。
(3)「国際関係における文化」の分析枠組みの中での事例検討:本年度は、リベラルな対外文化政策模索の実例として、東京のドイツ文化会館の設置過程を分析した。1970年代初頭に打ち出された「広義の文化概念」の実践場として、当時文化交流事業の刷新が望まれていた日本(東京)が選ばれたこと、同地での新しい文化会館建設計画においてさまざまな新機軸が構想されたものの、西ドイツ国内外の諸要因から挫折したことを明らかにし、分析結果を学会で報告した。また、1960年代までの対外文化政策をテーマとした学会報告を2010年に行ったが、2011年度にはこの報告を論文にまとめ、学術雑誌に発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主眼は戦後ドイツの対外文化政策の分析検討である、過去2年間で実証分析に必要な史資料の収集を着実に進めると同時に、「国際関係における文化」の分析枠組みに関する考察や、特定の時期や個別の事業を事例とした政策の検討を行い、成果を学会報告や学術論文の形にして公表している。

今後の研究の推進方策

2012年度は本研究の最終年度である。不足する資料情報を調査によって可能な限り補うとともに、すでに収集した史資料等を分析し、これまでの研究を総括する作業を行いたい。戦後ドイツの対外文化政策は大きなテーマであり、3年間の調査研究で西ドイツ時代全体について多角的観点から検討することは困難であるが、本年度は同政策の特色であるリベラルな国際文化交流の原則が形成、模索された1970年代に的を絞り、文化の扱いをめぐる対立や混乱(「文化のポリティクス」)が象徴的に表れている事例を取り上げて分析したいと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 冷戦期西ドイツの対外文化政策-「外交の第三の柱」の形成2012

    • 著者名/発表者名
      川村陶子
    • 雑誌名

      国際政治

      巻: No.168 ページ: 74-87

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「移民国」ドイツを揺るがしたザラツィン論争-多様性の多次元性、文化間対話の可能性2012

    • 著者名/発表者名
      川村陶子
    • 雑誌名

      インターカルチュラル

      巻: 10 ページ: 147-160

    • 査読あり
  • [学会発表] 東京ドイツ文化会館の設立-「モデル・インスティトゥート」構想の展開と挫折2011

    • 著者名/発表者名
      川村陶子
    • 学会等名
      日本文化政策学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-12-17
  • [学会発表] 文化的多様性に向き合うドイツ-「ザラツィン論争」を手がかりに-2011

    • 著者名/発表者名
      川村陶子
    • 学会等名
      日本国際文化学会
    • 発表場所
      名桜大学
    • 年月日
      2011-07-02

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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