研究概要 |
1) 「国際問題」誌で発表した「「テロとの戦争」と日米同盟の現状」という論文は、自民党政権下、とくに小泉政権から福田政権における日米同盟の中で、非常に重要な役割を占めるようになった「テロとの戦争」という側面について論じた。政権交代後の民主党政権になってから、インド洋における給油活動が中止されたことは、普天間移転問題での混乱に加えて、日米同盟にマイナスとなった点を指摘したが、これは本研究の中でも貴重な事例研究と位置づけられる。 2) 国際政治学会で発表した「G8洞爺湖サミットにおける議長国としての日本のリーダーシップ 気候変動問題.を中心に」と題した研究は、福田政権で日本政府が指導力を発揮した事例である。今後の民主党政権におけるG8サミットの事例と比較して、政権交代とサミット外交について研究していける。 3) ルートリッジ社から出版された"Stronger Political Leadership and the Shift in Policy-making Boundaries in Japan,"という論文においては、外交と国内政策が自民党政権下でどのように変わっていったかを論じた。これは民主党政権下での政策決定過程は明らかになれば、比較対象の重要な論点となる。 4) 日本国際問題研究所から出版された、公共財としての日米同盟に関する研究では、中国の海洋戦略に対して、日本がどのような役割を果たすべきかを論じた。実際に民主党政権がどのような外交政策をとっていくのか、その評価の基準を提示できた。 研究実施計画に挙げたアメリカ側の政権交代と外交政策のパターンに関する研究に加え、以上の研究成果を発表できたことは、研究計画にとって大きな前進になったと考える。
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