研究課題/領域番号 |
22530168
|
研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
信田 智人 国際大学, 国際大学研究所, 教授 (80278043)
|
キーワード | 日本外交 / 政策決定 / 国際政治 / 比較政治 / 日米関係 |
研究概要 |
1)国際安全保障学会で発表した「鳩山政権における普天間基地問題の2レベルゲーム分析」は民主党政権になって最初の外交における試練において、鳩山内閣がどのように対処したかを調査した事例研究である。2レベルゲーム分析の枠組みを使って、どうして鳩山内閣の政策が破たんしたかを分析した。この研究の結果については、英文で学術誌に発表する予定である。 2)Handbook of Japanese Politicsは世界各国から第一線級の日本政治学者が、それぞれの専門分野の研究を発表したもので、その執筆者に選ばれたこと自体、非常に名誉なことである。"The Prime Ministerial Leadership,"と題した論文では、自民党政権における首相のリーダーシップを分析し、民主党政権における展望を示した。 3)The U.S.-Japan Security Alliance : Regional Multilateralismという本は、日米の安全保障政策の専門家が集まって発表した論文集で、私は"The Costs and Benefits of U.S.-Japan Alliance from the Japanese Perspective,"という論文を担当した。ここでは歴史的な文脈から、日米同盟の長所短所について、日本側からの見解を示した。 4)福島原発事故独立検証委員会の調査検証報告書では、第3章と第4章を担当した。この中で、民主党政権における福島原発事故という危機に対して、どのような対応を官邸が行ったかを分析した。これには、菅首相をはじめ、枝野官房長官、福山官房副長官、海江田経産相、細野総理補佐官などをインタビューして分析した。これによって、菅内閣の首相官邸の様子がよく理解できた。 これらが、平成23年度中に発表された研究であるが、当該年度中に進んだ研究が多くあり、平成24年度にはより多くの研究成果が期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度に比較対象となる米国側の事例について概観を行うことができた。また、平成22-23年度の二年間の調査で、民主党政権になってからの政治制度や政策決定の変化の分析を行ってきた。この二年間に自民党政権と民主党政権における事例について重要な事例研究をいくつかか発表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで政権交代後の政策決定についての調査結果がかなり蓄積されてきた。平成24年度中には、コロンビア大学出版から単著で、自民党政権から民主党政権にかわって、どのように政策決定が変化したかについて分析した本が出版される予定である。さらに、そのほかの事例についても、英文の学術誌に投稿している。すでにAsian Survey誌から掲載の通知が来ており、ほかの3誌についてもかなり掲載の可能性が高い。民主党政権の事例が現在進行形で進んでいるため、その研究に追われている。当初予定していた研究期間の4年間では、当初の目的である日米の比較までには手が届かない可能性が出てきた。そのため、平成24年度中に研究期間延長の申請を行いたい。
|