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2010 年度 実績報告書

ビルマ(ミャンマー)軍事政権を支える国際関係―タイの政策を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 22530169
研究機関新潟国際情報大学

研究代表者

高橋 正樹  新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (50288247)

キーワードビルマ / ミャンマー / タイ / チャーチャーイ / 軍事政権 / 外交 / ASEAN / 東南アジア
研究概要

22年度の研究計画は、80年代末から90年代にかけてのタイのチャーチャーイ政権の対ビルマ外交の変化をタイ国内政治の変化との関係から分析しつつ、その外交がビルマ軍事政権にどのような影響を与えたかを明らかにすることである。22年度は、1930年代から40年代にタイ政府が展開した失地回復運動とチャーチャーイ政権の対ビルマ外交について研究した。失地回復運動研究は本研究の歴史的な考察の一部である。
タイの失地回復運動とは、1940年前後に展開された、タイ国の領土的、民族的な範囲はラオスとカンボジア全域とビルマとマレーの一部も含むと主張し、その領土の割譲を求めた外交戦略をいう。失地回復運動の研究は、タイが大陸部東南アジア諸国との間に潜在的に抱える紛争構造の存在を明らかにし、今日の東南アジア秩序を考察する上で、ASEANとは異なる重要な視点を提供してくれる。
チャーチャーイ政権は、冷戦構造がほころび始めるとカンボジア和平を熱心に進め、近隣外交を「インドシナを戦場から市場へ」と大転換させた。この外交政策の変化はタイ国内の権力の軍部から新興経済勢力への移動と、チャワリット将軍のような軍人のビジネスの活発化の反映である。その結果、タイを大陸部東南アジアの経済センターにする政策を打ち出すが、近隣諸国から大タイ主義外交だという批判を受けた。また、対ビルマ外交では、ビルマ政府との経済関係を強化する目的で、ビルマ内政には干渉しない「建設的関与、constructive engagement」政策をとった。この対ビルマ外交は、政府間関係を安定化させ、経済関係の強化を目指すタイ政府の近隣外交のあらわれであった。しかし、その外交は同時にビルマの軍事政権を支持することになったのである。

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公開日: 2013-06-26  

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