研究概要 |
2010年度の研究活動のハイライトは、8月末から9月初めにかけて行った、マッカーサー記念図書館(Norfolk, VA)およびワシントン郊外のナショナル・アーカイブIIにおける資料調査であった。前者での調査では、GHQが行っていた、日本共産党に関する情報の報告書を系統的に写真に収めた。後者では、同党のリーダーであった野坂参三、徳田球一らの個人ファイルの文書を写真に収めた。さらに、GHQが把握していた、数万人の日本共産党員の個人データおよび彼らの日々の活動内容に関する膨大な資料を写真に収めた。これらにより、GHQは、日本共産党指導者および多くの地方党員の日々の活動を克明にフォローしていたことが明確になった。指導者にいたっては、朝から晩までの1日の活動が徹底的に調べられていた。ただ、資料の量が膨大であり、両方の場所での調査は途中で中断せざるを得なかった。それゆえ、次年度での資料調査が重要になる。これ以外ではフランス共産党や朝鮮半島の共産主義勢力に関する研究を進め、日本共産党の動きがどの程度、日本特有のものであり、また国際共産主義運動に共通のものであったかを研究した。そのために必要な書籍を収集した。
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