2013年度は、史料にもとづく原稿執筆そして編著書の出版に多くの時間を費やした。柴山太編『日米関係史研究の最前線』(関西学院大学出版会)は、2014年3月31日に出版された。研究代表者は、「日本の国内冷戦-研究課題とそのアプローチ」(169-197頁)を執筆し、そのほかの部分の編集を行った。他方で、積極的に新しい史料発掘を行い。渡部富哉氏から以下の注目すべき史料の提供を受けた。1945年、日本帰国以前に野坂参三は、モスクワを訪ね、ソ連共産党に日本の共産化についての指導を要請していた。日本共産党は、戦後に活動を始める前に、ソ連共産党からの指導を受けようとしていたのである。すべてはロシア語のソ連共産党側の史料である(数十頁)。 また占領軍治安・諜報月報を確保した。この史料は、これまで米国ナショナル・アーカイブIIで収集した情報が、どのようにGHQ内部でまとまられたかを物語っている。これにより、これまで集めた史料の全体像がよりはっきりとわかるようになった。 すでに編著のなかで、研究書執筆の基礎はできているが、これらの新史料獲得により、日本冷戦に関する、より高度な実証的研究が可能になったと思われる。
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