研究概要 |
マクロ生産関数および集計問題について以下の点を明らかにした.ただし,論文の執筆段階で遅れが生じたため,平成22年度中の論文発表を断念せざるを得なくなった.平成23年度中に発表する予定である. レオンチェフ型生産工程という概念を導入することによって,個々の企業の生産関数に一定のミクロ的基礎付けが可能になるが,そのミクロ的基礎付けを利用すると,一定の条件のもとで複数の生産関数のマクロ的集計が容易となる. 発想は次の通りである,まず企業が固定係数的に結合した生産工程(レオンチェフ型生産工程)を通して財・サービスを作り出すものと考える.この想定を前提に,さらにもしも労働投入を中心にした生産工程が,生産要素の相対費用の変化に合わせてスムーズに機械化(=資本化)出来るのならば,この工程は新古典派生産関数と同値なる.また逆に,このとき任意の新古典派生産関数は一つのレオンチェフ型生産工程とみなすことも可能となる. 以上の関係を利用すると,複数の新古典派生産関数の集計は比較的容易かつイメージの持ちやすいものとなり,集計問題の解決に一定の糸口を与える.つまり,複数の新古典派生産関数を考えるとき,直接それらの結合方法を探るのではなく,一旦,それぞれの生産関数に対応するレオンチェフ型生産工程を見つける.なお,それぞれの生産関数に対応する生産工程どうしは,最終財の需要構造が一つの条件を満たしているとき疑似的に結合できる点に留意したい.したがって,(条件が満たされているのならば)上記の各レオンチェフ生産工程を全て結合させ,マクロ全体に巨大なレオンチェフ生産工程を(概念的に)作りあげることができる.その後は,巨大なレオンチェフ型生産工程に対して,上述した「レオンチェフ生産工程→新古典派生産関数」という関係を利用すれば,結果,1つの新古典派生産関数を導くことが可能となる.
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