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2010 年度 実績報告書

国際労働移動の総合的理論分析

研究課題

研究課題/領域番号 22530184
研究種目

基盤研究(C)

研究機関長崎大学

研究代表者

島田 章  長崎大学, 経済学部, 准教授 (60196475)

キーワード国際労働移動 / 効率賃金 / 二重労働市場 / 小国開放経済 / 外国人労働者受け入れ枠 / 雇用者制裁 / 利他主義 / 送金費用
研究概要

外国人労働者の出身国への送金を増加させる方法の1つとして、送金費用を引き下げることが有効であるといわれている。しかし送金費用には、お金を送るための費用(sending fees)とお金を受け取るための費用(receiving fees)とがある。先行研究は、これらの費用を区別して送金額にたいする影響を議論してこなかった。そこでこれらの費用を明示的に区別して、送金額を増やす方法を見つけ出そうとした。そしてつぎの結果を得た。政策当局がお金を送るための費用をお金を受け取る人から税金として徴収し、それをお金を送る人に補助金として支払う(移転する)ことによって、送金にかかわるすべての主体の利害に影響をおよぼすことなく、送金額を最大にすることができる。このような結果が導き出されるのは、お金を送るための費用の増加は送金額を減少させるが、お金を受け取るための費用の増加は送金額を増加させるからである。
二重労働市場をもち効率賃金仮説にしたがって賃金が決定される小国開放経済を仮定し、熟練外国人労働者受け入れ枠の変更が異なった雇用者制裁(employer sanctions)のもとで、自国人労働者、合法外国人労働者および非合法外国人労働者の厚生にどのような影響をおよぼすかを調べた。そしてつぎの結果を得た。雇用者制裁のための罰金が大きい場合、受け入れ枠の拡大によって、自国人労働者の厚生が増す。一方、雇用者制裁のための罰金が小さい場合、受け入れ枠の縮小によって、自国人労働者の厚生が増す。これらの結果は、自国人労働者の厚生を高めようとするならば、政策当局が受け入れ枠と雇用者制裁を独立に操作できないことを意味している。またもし熟練外国人労働者の受け入れ枠を拡大することによってこれらの労働者の受け入れを増やそうとするならば、政府は雇用者制裁のための罰金を大きくしておかなければならないことも意味している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Illegal Immigration, Immigration Quotas, and Employer Sanctions2011

    • 著者名/発表者名
      Akira Shimada
    • 雑誌名

      経営と経済(長崎大学経済学会)

      巻: 90巻 ページ: 1-25

  • [雑誌論文] The Transfer of the Remittance Fee from the Migrant to the Household2010

    • 著者名/発表者名
      Akira Shimada
    • 雑誌名

      Journal of Economic Integration

      巻: Vol.25 ページ: 613-625

    • 査読あり
  • [学会発表] The Role of Altruism in Sending and Spending Remittances2010

    • 著者名/発表者名
      Akira Shimada
    • 学会等名
      The 9th International Conference of the Japan Economic Policy Association
    • 発表場所
      International Convention Hall, Waseda University, Tokyo, Japan
    • 年月日
      2010-11-28
  • [学会発表] Migration Decisions, Remittances, and Altruism2010

    • 著者名/発表者名
      Akira Shimada
    • 学会等名
      The 9th Annual Meeting of the European Economics and Society
    • 発表場所
      NJB Athens Plaza Hotel, Athens, Greece
    • 年月日
      2010-06-04

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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