外国人労働者の出身国への送金を増加させる方法の1つとして、送金費用を引き下げることが有効であるといわれている。しかし送金費用には、お金を送るための費用(sending fees)とお金を受け取るための費用(receiving fees)とがある。先行研究は、これらの費用を区別して送金額にたいする影響を議論してこなかった。そこでこれらの費用を明示的に区別して、送金額を増やす方法を見つけ出そうとした。そしてつぎの結果を得た。政策当局がお金を送るための費用をお金を受け取る人から税金として徴収し、それをお金を送る人に補助金として支払う(移転する)ことによって、送金にかかわるすべての主体の利害に影響をおよぼすことなく、送金額を最大にすることができる。このような結果が導き出されるのは、お金を送るための費用の増加は送金額を減少させるが、お金を受け取るための費用の増加は送金額を増加させるからである。 二重労働市場をもち効率賃金仮説にしたがって賃金が決定される小国開放経済を仮定し、熟練外国人労働者受け入れ枠の変更が異なった雇用者制裁(employer sanctions)のもとで、自国人労働者、合法外国人労働者および非合法外国人労働者の厚生にどのような影響をおよぼすかを調べた。そしてつぎの結果を得た。雇用者制裁のための罰金が大きい場合、受け入れ枠の拡大によって、自国人労働者の厚生が増す。一方、雇用者制裁のための罰金が小さい場合、受け入れ枠の縮小によって、自国人労働者の厚生が増す。これらの結果は、自国人労働者の厚生を高めようとするならば、政策当局が受け入れ枠と雇用者制裁を独立に操作できないことを意味している。またもし熟練外国人労働者の受け入れ枠を拡大することによってこれらの労働者の受け入れを増やそうとするならば、政府は雇用者制裁のための罰金を大きくしておかなければならないことも意味している。
|