研究概要 |
平成24年度は、平成23年度の研究計画に基づき、以下の点について研究活動を行った。 1.集合関数の特徴付けに関する研究および共最小加法性(comimimum additivity)の公理化に関する研究 平成24年度に改訂した集合関数(特性関数)に関する特徴付け論文を国際的学術誌に投稿し、現在、審査結果待ちである。改訂中に大幅な改善がなされ、オペレーション・リサーチのいくつかの結果との関係性も明らかとなった。Ono (2001, International Economic Review) が提唱した不況動学の理論は、日本でも開始されたリフレ政策と関連が深い。リフレ政策の基盤となる貨幣供給の効果は、貨幣保有動機に大きく左右されるが、現在、理論的に未解明な部分が多い。これについて、cominimum additivityの公理化の研究は大きな貢献をもたらす。24年度末に論文の大幅な改訂がほぼ完成し、近日中に国際的学術誌に投稿する予定である。 2.信念の改訂に関する研究 貨幣保有動機は、将来の不確実性に対して意思決定者が持つ予想に影響される。さらにこの予想は、時々刻々と入手される情報によって改訂される。予想の改訂は、古典的にはベイズ理論で記述されているが、金融的な予想に関する予想改訂には非確率的な改訂が本質的であることが示唆されている。本研究は、非確率的な予想の改訂をモデル化する方法論も含んでいる。これについて、平成24年度は相当程度進展した。我々が提案するlocally comonotonicと呼ばれる公理によって、非確率的な予想形成を記述できることが発見できた。平成25年度中に論文を完成させ、国際的学術誌に投稿する予定である。
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