研究概要 |
"Live longer, work longer : a positive role of public pensions in a service economy"を応用地域学会で報告した.論文は次の2つの仮定のもとで,人口高齢化と最適な年金保険料率の関係を分析している.第1に,高齢者は若年者よりも相対的にサービス支出が多い.第2に,労働市場は若年未熟練労働と高齢熟練労働の2つに分離されているという仮定である.数値解析によれば,たとえば,平均寿命が82歳のときの最適保険料率は約15パーセントである.分析結果は,同志社大学ライフリスク研究センターのディスカッションペーパーとして公開されている.論文は投稿に向け現在改訂中である. "Preferences for redistribution in an aging economy"を同志社大学ライフリスク研究センターのディスカッションペーパーとして公開した.論文は人々の投票行動により政治的に支持される世代間所得再分配の規模が,人口高齢化によりどのように影響を受けるのかを分析している.利己的な個人を想定するとき,人口高齢化は世代間再分配を拡大する可能性が高い.しかし,世代間対立や社会階級意識といった外部効果が存在するとき,場合によっては世代間再分配が縮小する可能性があることが示される.この結果は,年金制度を設計する際,国民がどのような基準にもとづいて所得再分配を望んでいるのかを吟味する必要があることを示唆している.論文は投稿に向け現在改訂中である.
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